使者の黙示録
この車は、団司が修道院のとなりにある警備会社から、勝手に拝借したものである。

警備会社の建物は倒壊していたが

車庫に入れずに建物の近くに置いてあったこの車両は、無事だった。

運転手が車を降りて建物のなかに入ろうとしたときに、地震が起きたと思われる。

運転手は瓦礫の下敷きになり、車の鍵がその近くに投げ出されていた。


この車は、現金輸送とは目的が異なる試作車両のようだが

後部座席がそのまま残っているのは、団司たちにとっては、ありがたいことだった。


ともあれ、団司はみんなを乗せた車を修道院へ走らせる。

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