side:Jun Kusakabe



今朝は雲ひとつない青空が広がっていたというのに、午後2時を過ぎた今になって黒雲が空を覆い、雨は勢いよく降っている。

しかもこの雨。大粒で、肌に当たると痛い。

集中豪雨のようだ。

遠くの景色を見ようと目を細めても、雨の筋ばかりが目立ち、霞んで何も見えない。


すこぶる視界が悪い中、今となってはたったひとりになってしまった唯一の家族を探す羽目になった。

急ぐ足は雨のせいで滑る。少し前から降り出したっていうのに、もう路上に溜まりはじめている。

溝に流れる雨水はサラサラと音を立て、勢いよく斜面を滑っていく。


それに加えて雨具なんかも持っていないから、布製の靴は地面に溜まっている雨水を思い切り吸う。

おかげで足を地面に叩きつけるたび、空気を含んだ水音がするし、足の裏全体に水が行き渡って気持ち悪いことこの上ない。


冷たい豪雨に襲われた体は冷えきり、体温を奪ってくる。

大人のぼくでもこんなに寒いんだ。


体温が高い子供なら、さらに寒く感じるはずだ。


彼女が風邪をひいて高熱を出してしまう前に、一刻も早く見つけ出さなければ!!


ぼくは、はやる気持ちを抑え、小さな背中を追う。


こんなに走っているんだ。
ぼくの肉眼はもうそろそろ祈(イノリ)を捉えてもよさそうな頃だ。


にもかかわらず、一向に彼女の姿が見える気配がない。


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