あやとり

文化祭



文化祭当日の朝に〈高熱で行けそうにない〉と、千春からメールが入った。

本当の理由は振られた翌日に当人と二人で、一時間の受付をこなす強さがないからだろうと察しはついたが、高熱ということにしといてあげようと思った。

傷心の千春に対してなら、そのくらいの優しさは持てる。

結局、千春が受け持つはずだった一時間を、私の担当時間をもう一時間増やしてやることになってしまった。

千春が欠席することを伝えた私を、千春と仲がいいと皆が思うのは当然とも言える。

仲がいいのなら、代わりを務めるのも当然になってくるようだ。

四時で終わる文化祭の最後の二時間を受け持つのは、なんとも割が合わない話だけれど、甲斐君と話すきっかけが欲しかった私には、好都合だった。



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