追憶〜逢いたい人へ〜

…誤解

五時間目の授業が始まったときだった。

私の大の苦手な数学の授業…

だんだん、睡魔がやって来る…

吉野先生の声を子守唄に、夢の扉を今まさに開けようと、ドアノブに手をかけた瞬間、勇のこんな言葉で一気に引き戻された。


『おい。お前さぁ…あんな頭のいいやつと付き合ってんのにバカだよなぁ…。
釣り合うと思ってんの?』
と、ボソッと耳打ちしてきた。


寝ぼけていたことと、耳打ちされてビックリしたこととで、勇がなんて言ったのか、理解するのに時間がかかった。


『……ぇ…、ぇぇえ〜!!!!』

私の声に吉野先生の子守唄もピタッと止まる。


視線が痛い…………


今だかつて、授業中こんな大きな声を出したことがない…

気が付けば、周りは私に釘付けだった。
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