ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
ヒロくんのマンションについてお部屋に入ると、お部屋ごと淡くブルーに染まっていた。

外灯のわずかな光と闇がミックスされた幻想的な世界。

光の微妙な反射がもたらすマジックは月夜の空の下にいるみたいだった。


「こんな夜はキャンドルを灯せばロマンチックだね。ね? ローソクとかないの?」

「だめだ。火事になる」

「もうっ! 雰囲気ぶち壊し」


仕事柄、非常に現実的なヒロくんはキャンドルよりもLEDライトを選ぶタイプ。

数字にもやたら強くて、消費税や割引後の値段の計算なんて暗算ではじきだす。

一方わたしは理数系にはめっぽう弱い。

そしてヒロくんとは映画の趣味も違うし、好きな芸能人も被らない。

まるっきり違う二人。

価値観の違いが別れる原因という人もいるけれど、まるっきり違うわたしたちから言わせてもらえば、その理由が理解不能。


好きは好きだから。

理屈はあまり関係ない。


お互いに足りない部分は補い合って、そして必要ならばあとから学べばいい。

わたしができるのはお料理をはじめとする家事全般。そこはヒロくんが苦手とする分野。

その反対にわたしが苦手とする分野は……
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