繋いだ手
親友

みみコ

みみコ。

あたしの大切な親友。

「ただいま。」


一緒に住んでるわけじゃない。


でも、あたしは、

毎日、仕事が終わると、

自分家より先に、

ここに帰ってくる。



「みみやへようこそ!」




みみコは決して、
そうは言ってないけど、


「お帰り」

が、
あたしには、
いつもそう聞こえる。


彼女のキッチンの
シンク周りには、

みみコのお気に入りの
淡いブル−や
黄色…


みみコ色の、

優しい色のタイルが
貼り詰められていて


換気扇の下の、
タイル貼りのそこで、

タバコを吸いながら、
1日のお互いの出来事や、

その日の感情を話すのが

あたしたちの
日課になっていた。


その、
ひどくお気に入りの
あたしたちの


その場所を、



あたしたちは

「みみ屋」と呼んでいた。



《今日予定ある?》

そんな事、

送らなくても
毎日ここへ来ているのに、


お互い、
おデーとの日があるから、


その日にあたっていないか?

その念の為だけに、

朝、その確認メールを
送っていた。


今日はあたしから。



今日は、その月に1度のソレには

当たっていなかった。

毎日だけど、


定例会?を、

今日も開催した。


窓側の、

三本足の赤い丸い椅子に

あたしが座る。


みみコは
、アウトドアに使う
グリーンの椅子を

いつもの場所から
ズズーっと


引っ張ってきながら、


真後ろの冷蔵庫から

取り出したばかりの


缶ビールを


おいしそうな
音を立てて開けた。
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