繋いだ手
みみコが、美味しそうに喉をならしながら、いつもの言葉をこぼす。


「あ〜♪んまぃっ。この為だけに頑張ってるんだよねぇ〜。」


あたしは、小柄で、あたしより年上にも関わらず、



ここらへんを歩いていて、しょっちゅう、

大学生に、難破されちゃうくらい


とってもキュートなみみコと、


今、美味しそうにビールを飲む


それのギャップが、


たまらなく好きだ。



今日も当たり前に、自分の契約駐車場並みに、


みみコのマンションの来客駐車場を占領し、

マイカーを止めたあたし。


そして、みみコが入れてくれる紅茶を、


当たり前に飲んでいた。



毎日話していても、話しは尽きない。

一言もらしたら、止まらない。



「やっぱさぁ、いい加減、ちゃんとしなきゃって
言ってた

それ。
今なんじゃないか?と思う。

ヒロのこと。」


みみコは、じっとこっちを見ていたかと思ったら、


黙ってうなずいた。


「寂しさを埋めるだけに、

時間をこなすだけの為に、

ヒロを選んだ。


痛いところ、ちやほやされて、


撫でて貰って、

何やってもめんこいなぁと言ってくれて、


もう、すっかり元気なんだよ、あたし。


1人になって始めることに

また、怖さはある。

でも、調子こいてる自分に、


もう、いい加減にしろよ!って思う自分が、


今は、しっかり、こっち側にいるんだよね。


あたし、こんなにチャラかったっけ?って思うわぁ。」



みみコは、いつも通り

一通り


あたしの声に耳を傾けた。

そして、ちょっとずつ、


優しい口調で話しだす。
< 53 / 71 >

この作品をシェア

pagetop