キスはおとなの呼吸のように【完】
6.過去~ふたりの熱い気持ち
その帰り大上先輩とわかれると、わたしはひとり三本酒店により道した。

バドワイザーをのみながら、おおきな営業があることをカズトに報告する。

三本酒店の立ちのみスペースには、わたしのほかに先客が数名いて、思いおもいのお酒をのんでいた。

ふだんの貸切状態に慣れていたわたしは、こういう空気がすこし苦手だ。
まえのめりになりすぎて、いささかはやくつきすぎた。
ほんのちょっとだけ後悔。

いつものようにもう三十分うしろにずらせば、カズトとふたりきりになれたものを、そんながまんができないのだから、わたしの心はまだまだおさない。
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