花咲く原石

04.オーハル

「…っオーハル!?」

シイラの上ずった声が響く。

たった今、声もなくオーハルは倒れてしまったのだ。

目の前で起きた出来事に思考がまったく付いていけない。

「…っ!」

うずくまったまま短い苦痛の叫びと共に彼の手が傷口を掴んだ。

オーハルの左肩には矢が刺さり、じんわりと血が滲んでいる。

一体何故こんなものが。

ようやく動き出したシイラの頭は理由よりも先にオーハルの無事を求めた。

「オーハル…っ!」

「くっ…ああっ!」

オーハルは矢を握り締めると躊躇うことなく引き抜いた。

その姿は普段温厚なオーハルから全く想像できない程に荒々しく、シイラは驚いて肩を震わせてしまう。

それと同時にまた沸き上がってきた感情。

シイラは恐怖から両手で口を覆い、潤った目は泳ぎ始めた。

それでも彼を案じる気持ちがシイラを奮い立たせる。

「オーハル…。」

しかしシイラが足を踏み出すよりも先に、オーハルは震えながらも起き上がりシイラの腕を掴んだ。



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