君と俺の事情

文化祭での事件



集side


「集ー!音程外したぞー!」

「あ〜…ゴメン…。気をつけてるよ」


只今、バンド練習中。
Vocalの俺を中心に、Guitarの春馬、Guitarの劉(Ryu)、Busの流架(Ruka)、Drumの新(Arata)で活動中。
元々、みんな専門の楽器が出来る。
楽器があっても、歌がなきゃダメだろうと言い出した流架。
そんで、委員会の中で、歌唱力がズバ抜けてる俺が選ばれた。


「んじゃ、一旦休憩なー」

「大丈夫かなぁ…」


ぶっちゃけ、不安なんだ。
俺、必ず一箇所だけ音程外すんだよね…。
上に上がる「なんだー」を下に下げるんだ…俺。
いわばアルトみたいなかんじ?
皆からは、叫べば良いって言われるけど、裏返りそうで怖い…。


「集、やらなきゃダメだ」


不安がって、丸まってる俺に声をかけて来たのは、劉だった。


「わかってるんだけどさぁ」

「観客呼ぶぞ。ずっと外すならな」

「はぁ!?絶対歌えないし!」

「お前は追い込まれた方が、スイッチ入るからな。どうする」

「…や、やるよ。やってやる!!」

「ああ。練習さいかーい!!」
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