ButterFly

chapter 4












彼の車の中も ムスクの香りがする。


ゆっくりと流れる 彼好みの音楽がわたしの心を落ち着かせる。




そして、何より 隣にいる彼は 美しい。




「...で、なんで泣いてた?」




まっすぐ前を見ながら運転している 彼を横目で盗み見していた私は

突然発せられた言葉に ぎくりとした。



「...」



「...」



二人の間に沈黙が流れる。


信号が赤に変わり がゆっくりと 停止する。



「まぁ、言いたくないならいいんだ」


彼は ゆっくりとこちらを振り返ると


わたしの頭をぽんぽんと叩いた。




...もっと触れて欲しい。

.....もっと...









< 18 / 59 >

この作品をシェア

pagetop