シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・切迫 玲Side

 玲Side
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「身の程を知ったか、ん?」



こんなことくらい…

いつものことだ。


多くの蔑視の眼差しが向けられていないだけ、同調のひそひそ声がしていないだけ…まだマシな方。


そう思うけれど――


僕の今の心境では、

当主の言葉はやけに心臓に突き刺さったんだ。



芹霞の中から消えた櫂。

だけど選ばれない僕という存在。


悔しい。

悔しいけれど…。



事実、だ。



カラーン。



無情に鳴り響く…鐘の音は、

魔法が解ける合図。


僕の我儘で引き延ばした10分は…

本当に意味がなかった。



もっと芹霞と話をしたかったね。

もっと櫂と話をしたかったね。


何も変わらない…魔法の時間を、

少しでも味わっていたかった。


芹霞と…断絶したくなかった。


だけど…もう時間だ。


僕は、自らの罪を贖う為には、

2人から離れないといけない。



僕という存在が櫂を苦しませる。


そして芹霞は僕を遠ざけたがっている。


僕は――

一緒に居てはいけない。




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