好きになっても、いいですか?
03
*
「え?外出?」
お昼前まで特に大きな仕事もトラブルもなく、秘書室で過ごしていた麻子に、敦志が純一の動向を報告した。
勿論、行き先は伏せて。
「はい。少し、社長も私用があるとのことでしたから」
「そう言う時にでも、“特別”な早乙女さんだったら同行していくのかと思ってました」
「例えば――……女性に会いにいくつもりの所に、ついていくことは出来ますか?」
「――――!」
敦志はあくまで例え話で言っただけで、今日の件がそうだとは言っていない。
だけど麻子がそれを、本気にしているようなことには気が付いていた。
それでもそれを否定せずにいたのは、特に不都合ではなさそうだったから。
逆に、そう思われれば、本来の行き先がバレることもない。
「まあ……友人かもしれないですし」
それでもなぜか……ウソをついているという良心の痛みからなのか。
最後に敦志が白々しく続けた言葉を受けた麻子は、黙って考える。
(……その可能性は低いでしょ)
麻子のなかでは、“純一には唯一敦志だけ”、という印象がインプットされているためにそう思ったのだ。
「え?外出?」
お昼前まで特に大きな仕事もトラブルもなく、秘書室で過ごしていた麻子に、敦志が純一の動向を報告した。
勿論、行き先は伏せて。
「はい。少し、社長も私用があるとのことでしたから」
「そう言う時にでも、“特別”な早乙女さんだったら同行していくのかと思ってました」
「例えば――……女性に会いにいくつもりの所に、ついていくことは出来ますか?」
「――――!」
敦志はあくまで例え話で言っただけで、今日の件がそうだとは言っていない。
だけど麻子がそれを、本気にしているようなことには気が付いていた。
それでもそれを否定せずにいたのは、特に不都合ではなさそうだったから。
逆に、そう思われれば、本来の行き先がバレることもない。
「まあ……友人かもしれないですし」
それでもなぜか……ウソをついているという良心の痛みからなのか。
最後に敦志が白々しく続けた言葉を受けた麻子は、黙って考える。
(……その可能性は低いでしょ)
麻子のなかでは、“純一には唯一敦志だけ”、という印象がインプットされているためにそう思ったのだ。