威鶴の瞳
ひとりぼっち
私には母親がいて。
父親がいて。
8つ上の姉がいて。
他には何もなかった。
幼少時代から中学まで、この能力のせいで怯えられていたし、気味悪がられていた。
透眞にはまだ言えないから、『色々あって』と言葉を濁す。
学校では友達が出来なかった。
家では 私を姉に押し付けてほとんど両親は外出。
姉は会えば優しかったけど、ご飯の時間以外は家に居なかった。
隠しているつもりがあったのかはわからないけれど、避けていたのは確か。
私はずっと独りだったけど、寂しいと思った事はなかった。
それが『当たり前』だったし、生きる事に苦はなかった。
独りに慣れていた。
そして両親は、私が16歳になると同時に、私を捨てたのだ。