威鶴の瞳

眠り姫






――パチリ、目が覚めた。

俺は暗闇の中、光が漏れるそこに目を向ける。

……カーテン……。

昼間、か……?



でも何かがおかしい。

見覚えのない部屋のベッドで、俺は寝ていた。

何かの事件にでも巻き込まれたか……と思ったけど、拘束はされていない。

ベッドから出て、慎重にドアを開くと、見覚えのある作りに気づいた。



ここへは一度だけ、来たことがある。

かなり前に――トーマと。



そう、トーマの部屋を決める時に来たんだ。

ということはここはトーマの……?



警戒心を取り除かれ、リビングへ向かう。

ソファーを覗き込むと、やっぱり、トーマが寝ていた。



「俺を部屋に連れ込んで何するつもりだったんだか」

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