用件を伝えるとコウは仕事に戻った。
 クルミは斜め後ろにジンを従えてリビングへ向かう。

 ノックして入ると、兄のカイトは部屋の中央にあるソファに座り、お茶を飲みながら新聞を読んでいた。

 クルミに気付いた兄はパッと笑顔をほころばせて立ち上がる。
 そして大股で歩み寄り、クルミを思い切り抱きしめた。

 クルミの額にキスを落とし、心配そうに顔をのぞき込む。


「心配したよ、クルミ。また獣に出遭ったんだって?」
「えぇ。でも彼が守ってくれたの」
「彼?」


 クルミが振り返り視線でジンを指すと、兄はクルミから離れながら少し眉を寄せてジンを見つめた。

 ジンは初めて会った時と同じ穏やかな表情で兄に挨拶をする。
 兄はホッとしたように笑顔を浮かべ、ジンにねぎらいの言葉をかけた。


「クルミを守ってくれてありがとう。ここは僕がいるから、君は下がってもいいよ」

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