こんなに好きなのに



「ヒロ~この間さぁ、お前の女が無理やり車に連れ込まれるところ見たんだけど……ヤバくねーか?」

「…!亜弥……?」

「多分そうだと思うけど、なぁ?」

「うん。俺ら一回しか会ったこと無いからハッキリ分かんないけど…」

「連絡してみたら?」

「…お……おう…」



急いで屋上に駆け出し
携帯を開いた


だけど何を言えばいい?

もし、仮にアイツ等が見た
女が本当に亜弥だとしたら?


……俺のせいだ
…俺のせいで、亜弥を傷つけてしまった…


血の気が一気に引いて
心なしか寒く感じる


「どうしよう、どうしよう…」

独り言をブツブツ呟く



俺が何かを言える立場か?

他に誰がアイツの傍にいてやることが出来る?

亜弥には女友達が少ない、そんな時に頼ることの出来る友達なんていない筈なんだ……


だから、俺が行くしかないのに
罪悪感で電話を掛けることが出来ない。




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