ギルディラヴ~社長と誓う偽りの愛~
「ほら」


ポンと私に向かって、白いバスタオルを投げる。


フワフワの柔らかいホテルのタオルみたいな感触。思わず頬を寄せてスリスリしてしまった。


「・・・ビールでも飲むか?十和子」

「え、あ…」


突然、名前を呼び捨てられて戸惑う。初対面で、しかも男に名前を呼び捨てられたのは初めて。


でも、彼とは初めての気がしない。


何故?


私は首を傾げ、風宮さんの顔を見つめる。彼の濃紺の瞳が誰かと重なった。


「社長?」


まさかねーーー・・・

彼は私に顔を近づける。

端正な顔に通った鼻梁。
長い金色の前髪が左目を覆い隠すけど…
片目だけでも色艶のある眼光だった。


「ビールは止めだ…シャワー浴びて来いよ…十和子」





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