あの空の音を、君に。

再会




「知ってる? 涼。隣のクラスに転校生が来たんだって」



雨のじめじめとした空気が充満した教室の中、優花がおにぎりを食べながら懸命に健康的なピンク色の唇を動かしている。



「転校生?」

「うん。東京からだって。都会じゃない? 都会のにおいがするよ」



そういって、箸でおにぎりをつついて食べる。

「おにぎりを箸で食べたら、おにぎりの意味がないじゃん」ってこの前優花に言ったら、「ごはんは箸で食べるものなの!」とおもいっきり主張された。



「そう? 東京にもいなかはあるでしょ」

「でもいーの! 東京は東京なの!」



よくわからない優花の主張。

まぁ、私たちが住んでるようないなかの町に比べりゃ、東京のいなかなんて都会だよね。


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