あの空の音を、君に。



箸でちまちまとしそ味のおにぎりを食べ終えたあと、私に「はやくご飯食べてよ」と優花が急かす。


さっきの話題といい、優花の行動力の高さといい、こんなにわかっていいのだろうかと思うほど、目の前の人間が考えている事なんて手にとるようにわかった。



「まさか、転校生見に行くつもり?」

「当たり前でしょー。分かってるならはやく食べてよ」



あんたは女王様か。


優花に反抗的な視線を投げつけながらも、最後の卵焼きを口の中に放り込んだ。



「ほらっ、行くよ!」



私がお弁当箱を片付けてから一秒もたたないうちに、優花が教室からとびだした。

さすが、現役陸上部……。


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