この声が枯れるまで

目標

「桜田隼人~。」

ただいま俺はかなり不機嫌である。なんなんだ。この点数は?!

「……36点って」



やばいぞ!自分。またギター禁止令を出されるかもしれない


今度こそ俺は焦りを感じた。


「隼人っっ!」


長尾は俺の背中をポンと叩くと、俺に向かって大きくVサインをした。


「もう駄目だ~。私、この点数みて嘘かと思ったもん」


「俺も、最初何かの間違いだと思ったわあ~」


二人は目を合わせてコクンと頷いた。


「~~せーのっっ」


『36!!!』


二人の声が揃って思わず吹き出してしまった


今までの不安も、一緒に飛んでった


「俺ら、馬鹿だあ~~~」


「そ~だ!そ~だ!馬鹿だ~」


長尾は小さな子供のようにキャピキャピしている


そんな長尾をみてると、何だか楽しくなって《会いたい》と感じる


まだまだ幼い小学生だけど、恋愛だって普通にする。最近の小学生は大人なんだ


「~っいや!でも俺は長尾の事、好きじゃねーから!!」


俺は誰にも聞こえないような小さい声で、つぶやいた。


俺は好きじゃない。好き……じゃない……よな?


でもなぜか心臓が苦しい。



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