この声が枯れるまで

少年

「あ~まじでびびる…」

「こんなん見たら眠れなくなる」

「しかもここ旅館だぜ!?ぜって~でるって。」


俺と浩二は狭い部屋に布団を二枚ぴったりとくっつけて毛布を頭からかぶりながら「心霊映像」という特別番組を見ていた。

よりにもよってこの日に心霊映像をテレビで見るとは……

かなりスリルがあってまるで修学旅行にはもってこいの「怪談話」をしているかのようだった。


もともと風呂の順番がまわってくるまで暇だったし丁度よかったのかもしれない。


ふと浩二がテレビをつけたとき写ったのが「心霊映像」だったってわけだ。


この番組は非常に視聴率が高くてゴールデンタイムに放送されている。一般人から送られてくる「心霊映像」をもとにして大物俳優などが体験をリアルに再現する番組である


俺達は毎回「心霊映像」が放送された翌日の学校での話題はもちろん「心霊映像」についてだ。

俺はいつもリビングで見るのだが近くに誰か家族がいないと見てられなくなる。リビングと台所はつながっているのだがたまに母さんが台所からいなくなると怖くて兄ちゃんに助けを求める。


兄ちゃんは昔から怖さに強いので安心する


でも今日は家族がいない所で「心霊映像」を見ている。俺は浩二とぶるぶる震えながら怖いと頭では訴えているのに目は熱心にそのTV画面とにらめっこをしていた。
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