tearless【連載中】
変化
――‥‥
―――………



「おはよ」

『おはよ。あれ、その袋なに?』



相変わらず化粧品を机に並べている結衣に“服”とだけ告げると、イスに腰を下ろした。

昨日帰ってからキチンと綺麗にして、ご丁寧に畳んで袋にまで入れたのだ。



『服?』



脇に掛けられた袋を指でちょっと開き覗き込むと“ブレザー?”と首を傾げている。



「それ、新条 璃琥の…」



そう言うと、予想通り結衣は目を丸くさせ“は!?何?どーゆう事?”と身を乗り出し私に詰め寄ってきた。

それはそうだ。

憧れの先輩のブレザーを昨日まで名前すら知らなかった私が持ってるんだから。



「昨日、凄い雨降ったじゃん?」

『うん。まじ雷とかヤバかった。拓磨と雨宿りしたもん♪』



声が完全に乙女なんですけど…?

彼氏の話になるとすぐこれだから…。



『で?』

「あ…でね、服濡れちゃって璃琥が貸してくれた訳」

『り…く…っていつからそんな仲になったのよ!?』



肩を思いっきり揺さぶられ、昨日ぶつけた後頭部がズキンと痛む。

“結衣、痛い”そう言うと揺れがおさまり、目の前にマスカラバッチリの大きい瞳が現れた。


 
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