エレーナ再びそれぞれの想い
15 シュウの贈り物
 なつみを含むクラスの人々とすっかり仲良しになり、シュウは学校生活を満喫していた。  
名陵学園由乃高校では、文化祭の準備が進められていた。
シュウとプリシラは、文化祭に出品する作品製作に追われていた。
シュウは美術部で陶芸をやっている。
まずは、手で粘土の素地(胎土)を手でこね、中の空気を抜く。
これを十分にやらないと、窯で焼くときに、空気で作品が壊れる。
脱気と呼ばれる作業だが、美術室に真空土練機は、あきがなく、手作業になる。
土揉みと脱気が終わると、今度は、電動ろくろへ。
鏡盤(回転台の中央)に置かれた胎土は、シュウが手を入れると、急速回転しながら、押され、潰され、上方またはは外側へと引かれ、徐々に空洞が形成されていく。
粗い粘土の塊を下向き、内側方向に力を入れ、完全な回転対称にするこの作業は、「土殺し」「心出し」と言われる重要な初期の作業工程。
さらに、穴を開け、広げ、底を作ると、壁面を挽き、厚みを均等にし、切り揃えて形を整え、足を作り上げるといった作業を行う。
形が完成すると、乾燥棚で乾かす。
半開きと呼ばれる水分が15パーセント段階で、取ってなどを取り付けるが、
既に土は堅固な状態になっている。
最後に焼き上げるが、窯の温度はプリシラが管理していて、いつでも焼ける。
窯では、1000度以上の高温で焼成される。
窯の中は高温が保たれ、予熱・焼成・徐冷と、三工程行われる。
電気またはガス用いる窯は扱いやすく、短時間で焼き上げられる。
出来上がった作品を棚の付いた台車でゆっくりと窯から出す。

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