スイートスキャンダル
「俺、秋島柊(アキシマシュウ)です。覚えてませんか?」


「秋島……?……あっ!」


苦笑したままの綺麗な表情を見上げて、ハッとする。


「もしかして、有紀の弟のっ……!?」


「そうです。残念ながら、すっかり忘れられてたみたいですね」


自嘲気味に笑う柊君に、慌てて首を横に振る。


「違うのっ!!忘れてた訳じゃなくて……えっと、ほら!あまりにも久しぶりだから、ちょっとピンと来なくてっ……!」


「そんなにフォローしてくれなくてもいいですよ。会ったのって二回だけだし、逆に覚えてる方がすごいです」


柊君は微笑みを浮かべると、あたしの左手からボストンバッグをスッと取った。


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