みんなの恋~short stories~
ブツブツいいながらも大人しくお皿をだす。
だって食べたいから。
「ありがとう」
超絶スマイルで答えたナオくんにきゅんとする。
いやでもあたし、怒ってるからね!
「果歩、これ持ってってくれる?ご飯よそうから」
大人しく持っていく。
でも、怒ってるから!
「じゃ、食べようか。いただきます」
あたしの向かい側に座り、ごきげんなナオくん。
「…いただきます」
ムスッという。
「果歩、怒ってる?」
今さらだね。
もう遅いよ。
なにを言おうが、あたしは許さん。
「怒ってる」
「果歩ー、」
ナオくんがいつになく真剣な顔であたしに話しかける。
「な、何」
少し、ドキッとしてしまった。いけない、あたしは怒ってるのに。
ふっとナオくんは微笑む。
その優しげで愛しい顔にあたしの気持ちはまた揺らぐ。