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この話はエジプト最大のピラミッドを建造したことで知られるクフ王が王位を継承する少し前から始まる。


時代で言うならば古王朝時代といわれる紀元前2550年頃のエジプト。


首都メンフィス(現在のミト・ラヒーナ村)では、外国に留学していた第一王子・ネフェルマアト(以下ネフェル)が帰国するということでお祭りムードに包まれていた。


空にはネフェルの帰国を祝う飛行船が飛んで上空から薔薇の花びらを巻き散らし、日中にも関わらず花火の音が響いていた。


帰還祭に向けて浮かれる町の様子を見ながら、鍛冶屋の娘・イシスは機織りする手を止め『呆れた』と頬杖をついた。


……王子が帰って来るからといって、何をそんなに浮かれることがあるのかしら。


町の喧騒などどこ吹く風とばかりに息をつき、再び手を動かした。



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