きのこうどん

【恋の片割】

昔、誰かが言っていた。
恋は孤独を感じるものだって。

恋をしたら、
今までの変わりばえしない風景や生活でさえ、明るく見えたり、感動的に映るけれど。 
 
それは単にはじまりで。

もうひとつ。
知らない間に
心に置き土産を残している。
 
会えないと寂しい。
「キミ」がいないと寂しい。
たとえ、周りに大勢の人がいても
寂しいとそう感じるのだ。
 
それを孤独と呼び
人はそれを嫌って生きている。
 
心は常に大好きな
「あの人」を求めているんだって。
 
大人たちは言うだろう
ボクのそれは恋じゃないって。
 
はっきりと感じる気持ちなのに
まるで
本当はそこには存在しない気持ちのように
吹き消してゆく。
 
この頃より
少しだけ大きくなったとき、
 
淡い心を守る術を知らないボクは
誰にも勘付かれないように
その気持ちをひた隠しにした。
 
誰かに見つかると
姿を消されてしまうようなそんな気がして。
 
きっと子どもだったから
それ以外にはボクらが
結ばれる方法が思いつかなかったんだ。
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