【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


「別に誰でもいいじゃん」



えっ、繭ちゃん?

一瞬見せた繭ちゃんの目がとても冷たくて、あたしは驚いた。

だけど、ふっ、と再び笑みを零し、



「教えてくれればよかったのにぃ」



次に言った時は、いつもの繭ちゃんで。


……今のは、気のせい?



「あ……。
隠してたわけじゃないんだけど……」



これは本当で。

繭ちゃんには言うタイミングがなかっただけ。


ただ、椎名冬夜が引っ越して来たときは隠しておこうと思ったんだよね。

ほら、やたらとモテるし。

なんか面倒臭そうだし。



「で、今日はいける?」

「あ……」



このまま、あたしの気持ちを黙ってていいのかな?


繭ちゃんに言わなきゃ駄目だよね。

だって繭ちゃんはあたしを信じて、椎名冬夜が好きだって言ってくれた。

だから、あたしも言わなきゃ。


ちゃんと、あたしも好きなんだって。









< 229 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop