【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
取引
「仁奈ちゃん、お願いがあるんだけど」
そう言ってきた繭ちゃんの顔を真っ直ぐ見れない。
自分の気持ちに気付いてから、あたしは繭ちゃんを真っ直ぐ見れなくなってしまった。
それに……キスの事だってある。
あたしからしたんじゃない。
じゃないけど……何だか繭ちゃんを裏切ったような気持ちになって。
「明日、学校お休みでしょう?
仁奈ちゃんのお家に泊まりに行っちゃ駄目かな?」
「え? 家に?」
驚いたあたしが顔を繭ちゃんを見ると
「仁奈ちゃんのお隣って椎名君なんだってね」
そう微笑んだ。
「え……。
誰に聞いたの?」
あたし、椎名冬夜と隣同士だなんて誰にも言ってないよね?
この間、京香に知られた時も同じマンションだって言っただけだし。