海の花は雪
「…山形さんには、重い役目をお願いしてしまいましたね〜ありがとうございます」

戸川先生が、丁寧に頭を下げた。

「そうそう、山形さん…あの時は、本当にありがとうございました。私なんて、パニックになってしまって…山形さんが引っ張って行ってくれなかったら、今頃私一人で、海のもくずになっていましたよ…」

高田さんも戸川先生に続けて頭を下げると、力なく微笑んだ。

「本当、本当。あの時、山形さんの判断が遅れていたらオレ達、今こうして生きてなかったですよ」

ハル君の花のような笑顔が向けられると、最近とみにゆるんできた涙腺がゆるみ、涙がこぼれそうになった。

正直、自分には荷が重過ぎたと思う…

今までの人生で…前世においても、あんなに責任重大な局面に出くわしたのは、初めてだったと思う…

人の命を切り捨て、人の命を背負う事が、こんなに辛い事だなんて…

ルドやイース…陛下やロイズは、いつもこんな重さに耐えていたんだなぁ…

ユラはずっと、守られていたんだなぁ…
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