天を衝く槍
2.お花見
それからちょうど10日後。


日にちが漸く合ったということで、花見は開催された。


そもそも花見を知らない私にとって、それはとてもうれしかった。


「コウガー、早く行こーぜ」


私はアルの声が聞こえて体を起こす。


寝惚け眼で時計を見ると、AM7:16だった。


「え、早くない?」


「いや、全然。遅いくらい」


そう言うアルは既に私服に着替えていて、ブルーシートを手にしていた。


「なんで?」


私は首を傾げた。


「何でって……席取り」


彼女はキョトンとして、さも当たり前のように言った。


「まぁいいや、また後で来るっ」


「あ、うん」


アルはそう言い、私が言い終わるか否やバタバタと部屋を出ていった。


「………………」




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