君と、世界の果てで
玄関を出ていこうとすると、母親に声をかけられた。
「翼、そのTシャツ、ビリビリに破れてるじゃない」
「こういう服だ!」
「小汚ないわねぇ。もうすぐ社会人なのに」
あぁ悪かったな、パンクファッションが好きで。
そのボケ、聞きあきたわ。
今の陸の両耳に、いくつピアスあいてるか知ってんのか。
あいつの方がよっぽどパンクだぞ。
「会えたら、たまには帰って来なさいって、伝えてね」
「へぇへぇ」
母親は、昨日、愛しの次男が自分に会わずに帰ってしまったことが、相当悔しいらしい。
適当に返事をすると、気乗りしない体を無理矢理車に乗せて、陸の家へ向かった。
ポケットに、巨乳歌姫の待受画面のスマホを突っ込んで。