君と、世界の果てで


玄関を出ていこうとすると、母親に声をかけられた。



「翼、そのTシャツ、ビリビリに破れてるじゃない」


「こういう服だ!」


「小汚ないわねぇ。もうすぐ社会人なのに」



あぁ悪かったな、パンクファッションが好きで。


そのボケ、聞きあきたわ。


今の陸の両耳に、いくつピアスあいてるか知ってんのか。


あいつの方がよっぽどパンクだぞ。



「会えたら、たまには帰って来なさいって、伝えてね」


「へぇへぇ」



母親は、昨日、愛しの次男が自分に会わずに帰ってしまったことが、相当悔しいらしい。


適当に返事をすると、気乗りしない体を無理矢理車に乗せて、陸の家へ向かった。


ポケットに、巨乳歌姫の待受画面のスマホを突っ込んで。


< 30 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop