「ま、待ってくださいっ!」





冷たい風が体に当たる暗闇の中、僕がはいた白い息だけがヒュゥ…っと音を立てる。


思わずそういって僕は彼を引き止めた。
言ってからすごい後悔した。でも勝手に口から出てきたんだからしょうがないと思う。



街頭に照らされてキラキラと光る彼の銀髪。短髪ともボサボサ髪とも言えるそれをまとって僕の方を振り返る。




「…なに?」




だるそうな顔に眠そうな目。
細く薄い体を丸めて廃材の上にしゃがんでいる。
その姿と光景はとても奇妙…珍妙とも言えるだろう。


冷や汗の代わりに冷たい風が僕の体を覆う。
…寒い。


…なんでこんな人と関わろうと思ったんだろう?



それを思っていてもなお、僕は言葉を続ける。


「ぼ、僕を…」



唇が寒さと怯えで震える。
友人と話しをすることすら苦手なのに、この見知らぬ人で変な人としゃべろうとしていることが驚きだ。

緊張、恐怖、寒さ、興奮…
それらが混じり合って今の僕を作っている。


怖い…怖いよう…






でも。



−−今、ここで言わないと…!



ガタガタと震える体に喝を入れ、拳をギュッと握る。







「ぼ、僕を…一緒に連れていってくださいっ…!」




彼がニッと少しだけ笑ったように見えた。

目次

この作品のキーワード
スパイ  ドジ  男の子    銀髪  茶髪  コンビ  天才