もう春は来ない
☆ 机 ☆


 翌日――

 教室に入ると、すぐにキミの席を見た。

 でもそこにキミの姿はなくて。

 それでも僕は、いつもキミがどんな風にそこにいたかも、どんな顔でそこに座っていたかもわからなくて。


 いつもの机。

 いつもの椅子。


 キミはいつもどんな顔をしていたの?

 キミは何を考えていたの?



 だけど、僕らが昨日見た、あの笑顔ではなかったことだけはわかっている。

 それだけは、わかっている。


< 9 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop