シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「何でもいいから、誰かに話したくなったら俺のところにきてくれる?」
「そのうち、気が向いたら」
「言っておくけど俺もせっかちだからそんなに待てないし、あまりに葉月からきてくれなかったら管理人の特権で……」
「行きますから! 不法侵入した挙句、家宅捜索とかしないでください」


そう答えた私に、五十嵐さんは安心したように微笑む。
なんでこの人はこんなに私に構うんだろう。

よく知りもしない他人の悩み相談なんて、聞いてる方が楽しくなさそうなのに。


「行きますから、その時はまたおいしい紅茶入れてください」


そんな言葉のどこが嬉しいのか分からないけれど。
五十嵐さんは「お湯沸かして待ってるよ」と満足そうに笑った。


この人は、自分の笑顔にどれだけ威力があるのか分かっていないのかな。
うっかりしてると直視してドキドキしちゃうから乱発はやめて欲しい。





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