誘惑図書館
カウンター越し、冷たい彼の指
少し足を引きずる音。
目を閉じていても、もう分かってしまう彼の音。
そんな自分に、罪悪感を抱く。
ふわりと、すっきりとした柑橘系の香りが漂う。
これももう知った匂い。
「返却、よろしく」
さっと出された本をカウンターで受け取る。
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