青空バスケ―3rd―

相山萌ちゃん。

あたしのクラスの園児。


「栞奈せんせー……」


あたしはしゃがんで萌ちゃんの目線に高さを合わせた。


「萌ちゃん、どうしたの?」


萌ちゃんの手には可愛いキャラクターのお弁当箱があった。


「お弁当……まだ食べてないの?」


あたしがそう聞くと、萌ちゃんはゆっくり頷いた。


「パパがね、パパが来れなかったらこれ食べなさいって」

「パパ……いなかったの?」

「……うん。
おしごと」


萌ちゃんの家は父子家庭。

なるべく行事には参加してくれる、とても熱心なパパさんなんだけど……


……そっか。

今日、お仕事だったのか……。


「じゃあ、萌ちゃん。
先生と食べよっか」

「……うん!!」


萌ちゃんは嬉しそうに頷いた。
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