外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
やっと走り出した甘い恋

かすみさんの視線が、痛いです。
田中さんの視線が、怖いです。
祐哉の無言が、一番・・・・・

間を見計らっていた祐哉が「・・・・・はぁ」溜息をつく。

私が何も言わないから、もうダメかと思ったのかもしれない。
どうしたらこの場を収めるのかを考えた結果の発言だったのかもしれない。

「・・・すげー勇気だったろ?それ言うの」

それを聞いてびっくりしてまた目を見開く田中さん。

なんでそんなこと・・・言うの?

「・・・はい、すごい・・・緊張して・・・」

泣き崩れそうになる田中さんは掴んでいるタオルケットで顔を覆う。

ベッドサイドに歩み寄ってく祐哉。

距離を取って、田中さんの隣に大股開きで座って、その腿の上に肘を置く。

「・・・ありがとう」
「え?」
「そんな風に俺のことを想ってくれて」
「社長?」
「そんな風にはっきり言ってくる奴、いなかったよ」
「そんな・・・私は・・・ただ好きで・・・」

小さく何回も頷く祐哉。

祐哉、何言って・・・・ありがとうなんて・・・言わないでよ。

喉がごくりと鳴る。
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