たっぷりのカフェラテをあなたと
「あんた朝ごはんも食べないで……それ以上痩せたらどうするの」
「うん、大丈夫だよ」

 私が太ったという事は、母には気づかれないレベルらしい。
 それよりも、私は“いかにもらしく”テーブルの上に置いてある一枚の写真に目がいった。

「なにこれ?」

 手にとると、メガネをかけた若い男性が笑顔で写っていた。
 登山でもしているんだろうか……そういう格好で岩の上に腰をかけている。
 こういう人と結婚できたら幸せになるのかなっていう感じだ。

「ああ、それねぇ、お母さんの知り合いの息子さんなの。いいお嫁さんいないかしら~って言うから、絵里にどうかと思ってスナップ写真を借りてきたのよ」
「そうなんだ」
「ねえ、軽い気持ちでお見合いしてみない?」
「……お見合い」

 考えてもいなかった事だった。

 母には浩介の事は絶対秘密だったし、私も彼との未来に幸せがあるとは思っていなかった
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