君がくれた初恋
タイトル未編集
1memori- 太陽
蝉の声と野球部などの掛け声や音が校舎の中まで響いてる。
桜ヶ原高校、2年生。
私の名前は、笹井ひかり。
春を超え、夏を迎えて、すでに夏休みに入っていた。
数少ない美術部の部員。
今はひとりで部活をしていて、目の前にある何らかの像を模写していた。
実は、私。恋をしたことないんです。
今時、ありえないことかもしれないけど...。
「危ないよー」
「..え?」
すると、開けていた窓からボールが吹っ飛んできた。
間一髪避けたが、その衝動で書いていた線がずれた。
驚いて窓の方を見て、口をポカンと開けていると、
「ごめんっ怪我ない?」
やや高めの声がした。
そしてその声の持ち主は鮮やかに窓を飛び越え中に入ってきた。
「大丈夫か?」
「.....あっ...はい。大丈夫..です。」
「そっか。はぁ~よかった。」
心配してくれたのか。その人は親切だ。
でも、
「もっと声張り上げて危ないって言ってくださいよ。」
「あははっごめん。」
軽く誤り、その人はさっさとボールを探し始めた。
この人、本当に反省してんのか。
てゆうか誰だっけ?見たことある気がする。(←ひどい)
「あったあった!...あ。」
その人は、私の絵を見て固まった。
そいえばさっきずれちゃったな。
何?ジロジロ見て...。
少し恥ずかしくて顔がちょっぴり熱くなった。
「あの..」
「...あぁごめん。...この絵、ずれちゃったね。」
「ごめん。」
「いっいえ!大丈夫ですよ!?」
素直に謝られてびっくりする。
しかも会釈つき。
「あー・・でも。」
「え?」
「この絵、上手だね。本当に。」
目を見て真っ直ぐにそう言われ、思わず顔が赤くなった。
かすかに微笑む笑顔に、一瞬、ドキッとした。
「あ..ありがとうございます。」
そんな、うまくないのに。
この人、何?もしかしてタラしじゃないよね?
「名前、教えて。俺、和泉太陽。」
「笹井・・・」
「ん?」
「笹井、ひかりです。」
変に緊張した。
「また、会おうね」
そう言って、和泉くんは「ばいばい」と手を振りながら部活へ戻っていった。
今までにない、感情が芽生えた気がした。