椿ノ華



「…僕の事、"美形"って思ってくれてるの?」

「い、いや、あの、その…」


椿の手を握り、顔を近づけてくる壱。


「光栄だな…君みたいな綺麗な女性に、

そんな風に思って貰えるなんて」

「…っ」


顔を背けて目線を逸らす。


「…はは、まあ焦らずじっくりいきたいから。

手は出さないよ」


にっこりと微笑んだ壱はテーブルに向かい、


「どうぞ、お姫様」


と椅子を引いた。



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