泣き虫総長と5ヶ月恋愛
**1**

Deai

*響夜歌*

コンビニからの帰り道

着込みすぎた服と、

いつもより多めに貼ったカイロのせいで

こんな真冬でもあまり寒いと思わない。

それでも、

「うー。さっぶ」

と言ってしまうのは、一種の口癖だろう。

家の前の公園は

月明かりに照らされ怪しく光る。

私は、それを横目にさっさと玄関へ入っていった。

「ただいまー」

「響夜歌ー牛乳買ってきてくれた ?」

「買って来たよー冷蔵庫入れとくね ?」

と母との会話をそこそこに

自室へと急ぐ。

今日の月はとても綺麗だったから

窓から見る月が最高だろうな…。

ダウンジャケットとマフラーを

ハンガーにかけ、シャッとカーテンと窓を開ける。

キーンとした空気が部屋へ流れ込む。

「やっぱり綺麗」

キーンと張りつめた外気の中に

堂々と光輝く月。

公園の木々の葉が無いために少し寂しく写る。

春は、桜が月明かりに照らされ綺麗だし、

夏は、若葉が光を反射して綺麗だし、

秋は、色づき始めた葉が月明かりの中を舞って綺麗だし、

冬は、寂しい枝と月のコントラストが綺麗だ。

あれ?

毎日見ている公園がいつもと違う。

行かなければならない気がした。
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