10年後も…〜song for you〜
第五章

真実





ゆっくり目を開けた。


真っ白な天井が目の前に広がっている。



ここどこ?




「目、覚ましたのね」


お母さんがホッとした表情で、私を見ている。


「あ…たし…なん…で?」


「真琴、待ってる間に倒れたの。先生からは貧血だって」






お母さんの言葉でハッと我に返った。



「健は!?」


私は勢いよく起き上がった。



そんな私を他所に、お母さんは首を横に振った。




「まだ意識が戻ってないの。でもね、なんとか一命は取り留めたみたいよ」




…た、健?




どうして?




「おっお母さん、あ、あたし健のとこに…行きたい」


行こうとする私をお母さんは引き止めた。

「ダメよ真琴!まだICUにいるの!行けないわっ!」



集中治療室?


なんでそんなところに、健がいるの!?




嘘だよ!




何かの間違いに決まってる!




だって、健はついさっきまであんなに元気だったんだよ?



いっぱい泣いて…





あたしを強く抱きしめてくれたもん…。




絶対おかしい!















< 362 / 508 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop