金閣消失(A探偵団3)

消火栓

○原田のアパート、廊下
   出羽と亀山が張り込んでいる。
   子供が上がってくる。
   二人身を隠す。

   子供、原田の部屋の前で立ち止まり、
   手紙をポストに入れようとする。

出羽「今だ」
   二人出てくる。

出羽「ちょっと僕、すまんけどなおじちゃんたち
 警察の者や。これが警察手帳」
   出羽、警察手帳を子供に見せる。

出羽「その手紙、こっちへかしてんか」
   子供、恐る恐る手紙を出羽に渡す。

出羽「ついにやった、でかした僕ちゃん!
 誰にこの手紙もらった?どんな人?」

   メモを取っていた亀山が子供の
   手に持ったお面を手にして、

亀山「あっ、ひょっとして?」
   変面の顔が大写し。
出羽と亀山「へんめん!」
   二人の顔が大写し。

○京都府警本部、正面

○同、本部長室、内
   デスクに山本本部長が座っている。
   出羽と亀山が立っている。
   出羽、手紙を手にしている。

本部長「でかした二人とも!」
   本部長、はがきを手にしてゆっくりとはがした。

   『みなさま、ごくろうさまです。変面』
   三人顔を見合わせる。
   文字、消えていく。

○同、外
   出羽と亀山の大声が聞こえる。
出羽と亀山「すみませんでした!」

○金閣寺、参道
   出羽と亀山が歩いている。
出羽「名案たとおもうたんやが」
亀山「とにかく金閣寺をよく探ってみましょう」
出羽「何を盗むっちゅうんや、ほんまに」

○金閣寺、内
   あちこち工事している。
出羽「やたら工事が多いなあ」

   観光客に混じって庭を歩く二人。
出羽「美しい庭やなあ。あれがいわゆる金閣寺やな」

亀山「あれ全部金張りですよ。昔所化が放火して小説
 や映画になりました。それから消火栓がいたるところに」
出羽「なるほど」

亀山「清水寺は本尊なにやら如来が国宝で、あの
 能舞台が世界遺産です」

出羽「ここはあの金張りが世界遺産やろ?」
亀山「そうです」

   出羽、立ち止まり。
出羽「それはないやろう!あの金張りは盗れへんで!」
   観光客がいぶかしげに二人を見つめて通り過ぎる。
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