カゼヒキサン。
あの温かな手が、今おでこに触れてる。

大きくて、柔らかい、海斗の手。

いつも髪をわしゃわしゃってやる、あの手。

あたしが好きな手。


「んー、結構熱い。」

「…温度計とかは、あそこの青い箱にある。」

指さした先の青い箱を、海斗は『ヘイヘイ。』と取ってくる。


スッ、と脇んとこに温度計を入れる。

特に会話もなく、ひたすらピピピピ…の音を待った。

ピピピピ…


「…38.1度。」

「んじゃー、とりあえずきがえな。俺、部屋の外にいるから。」

「あっ…じゃぁ、冷蔵庫の中のアロエヨーグルト取ってきてー。」

「おー。」

そういって海斗は部屋を出る。

同時に、あたしは制服のリボンをシュッ…てはずして、着替え始める。

まって、普通にパジャマでいい?

うん、パジャマでいいかな?

…ダサイ?かな?


ピンク地に白ドットの普通パジャマ。


まぁいっか!

それに、メンドくさくなったから結んでた髪の毛を外す。

あとがついてるから、髪を少しとかす。

…あーあ。この前、前髪切りすぎたんだよね…。

その時だった。


コンコン

「瑞希、ヨーグルト取ってきたよ。」

「あ…、うん。入ってオッケー。」

パジャマも着替え終わったし、髪も少しでくせとれたし。

ガチャ…

「…パジャマ?」

「…普通、部屋着といったらコレ…なんだけど?」

「んま、いいよ。別に何でも。」


そういって、海斗はベッドに座りこむ。

あたしも、隣に座った。
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