理想の恋愛関係
そんな風に蔑ろにされながらも諦められないのは、やっぱり優斗君に恋をしているからなんだろう。


「今回は振られたからって引き下がれないの。彼の事、本当に好きになったみたい。だから気持ちは素直に伝える事にしたの」

「好きだからって……まあ、あまりやり過ぎない様にしなよ」


鈴香は、苦笑いを浮かべながら言った。


「大丈夫。早速今度の土曜日、デートの約束を取り付けたから」

「そうなんだ、本当にやる気だね」

「まあね」

「で、どこに行くの?」

「植物園」

「は? 何で?」


鈴香は不審な顔をして言う。


「優斗君昼間しか時間取れないみたいだから」

「昼間しかって……」


何か言いたそうな鈴香に構う事なく、続けて言った。


「あまり遠出出来ないし、それに私植物の事ならいろいろ説明出来るから、知性のアピールにもなるし……それにお弁当を作って行くつもりだから、家庭的な面のアピールにもなるでしょ?」

「ふーん」


鈴香は興味無さそうに頷いた。


その態度に若干不満を感じながらも、優斗君と会う日が楽しみで仕方なかった。
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