隣に座っていいですか?
家族になろうよ


そんな
劇的なプロポーズ?(と、言うのも恥ずかしい)の後として、お父さんの大反対もなく、お母さんと恵子おばさんは「何となく予感はしてたー」と、双子のように納得し、思ったより平和なもんでした。

ただ
居合わせた自治会長さんが、予想通り町内で言いふらし、昔からの知り合いである近所のおばさん達にはかなり冷やかされました。

だから開き直り
堂々と田辺家に通います。

そうです
まずは
お付き合いから始めましょうの世界です……私は!

しかしながら……彼は。

たとえば
私が夜に隣の家に行き
晩ご飯を作り
三人で食べ
片付け終わって
桜ちゃんと遊んで時計を見て

『あら、もう9時だわ』と、家に帰ろうとすると

「泊まっていかないのですか?」と、真面目に肉食系の会話をするという。

お泊り

まだ
あの夜の庭でキスしてから
手も繋いでませんけど。

お泊りですか?

ムードも何もない奴。

「帰ります」
頬をふくらませ
桜ちゃんと名残惜しく別れ
歩いて家に帰ります。


ご飯作りに行ってんのか?私。




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