乙女桜〜誠の武士〜



「………ふっ…。
私も馬鹿じゃないんでねぇ。
貴方の朝餉に痺れ薬をいれたんですよ」


「…かみ……か…わ………。」


………やられた。
手足の感覚が全くない。
だんだんと意識が遠のいていく。

「…和泉 陽凪はつかまえた。
急いで吉田様にお伝えするぞ。」

……吉田?
長州藩で吉田…
吉田稔麿のことか………。

そいつさえいなければ、
母様が死ぬことはなかった。
全てはあいつの所為だ。
いつか必ずこの手で殺してやる。

薄れゆく意識の中で、
私は吉田稔磨という男への復讐を
誓ったのだった………。


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