溺れる月
満月 月齢15

月齢15 裕人

 雫を家に連れて行くと、


叔母さんは喜んでもてなしてくれた。


雫も、叔母さんのことを気に入ったようで、


すぐに打ち解けると、二人で何か話しては笑い合っていた。


叔母さんは、まだ29歳だし、同じ女だし、


何かと話すことがあるのだろう。


更に、同じミュージシャンが好きということが発覚し、


二人はますます仲良くなった。


きゃあきゃあ言いながらCDを掛けていたが、


僕はそのミュージシャンの曲を聴いたことが無く、


的外れな感想を口にしては、


「ヒロ君、あっち行ってなよ」


「そーだよ」と、


二人からジャマにされた。



 雫は、お姉さんができたみたい。と喜んだ。


叔母さんは、雫の傷には何も触れなかった。


大人の対応というよりは、彼女の優しさだった。




 
< 25 / 45 >

この作品をシェア

pagetop